個人の自己破産と免責審尋について

 

 個人が自己破産する場合の目的は、裁判所から免責許可決定をもらうことですが、裁判所が免責を許可するかどうかを判断する際に、「免責審尋」(めんせきしんじん)という手続が行われることがあります。

 

 今回は、このような免責審尋の意味や、それがどのような場合に行われるのか、また、免責審尋が行われる場合の注意点などについてお話しします。

 

 

免責審尋とは?

 

 免責審尋とは、自己破産した方の借金の責任を免れさせて良いかどうかを判断するため、担当の裁判官と裁判所で面談する手続です。

 

 免責審尋は、財産調査や売却などの換価手続、お金が集まった場合の債権者への分配手続など自己破産の一連の手続が全て終了した後に行われる最後の手続です。

 

 

どのような場合に行われる?

 

 自己破産の手続には、破産管財人が選任される「管財事件」と、選任されない「同時廃止」の2種類がありますが、管財事件の場合は必ず免責審尋が行われます。

 

 他方、「同時廃止」の場合は、借入の内容にギャンブルなどの問題があったり家計管理に問題があるなど、裁判所が直接ご本人の話を聞きたいという場合に行われます。

 

 他方で、盛岡地裁では、そのような点について何の問題もない場合には免責審尋が行われないこともあります。

 

 

免責審尋は一人でいかなければならない?

 

 自分で自己破産を申し立てた場合には、ご本人だけで裁判所に出頭しなければなりませんが、弁護士を代理人とした場合には弁護士も一緒に出頭します。

 

 

免責審尋の時間はどれくらい?

 

 管財事件の場合は、破産者の免責を認めるべきかどうかに関する調査も破産管財人の職務です。

 

 そのため、管財事件では、免責審尋前には破産管財人から裁判所に免責に関する意見書が提出されるため、改めて裁判所から細かく事情を聞かれることは少なく、その場合数分で終了します(稀にですが、あまりにも借入の理由が酷いようなケースだと、直接裁判官から厳しく追及されることもあります)。

 

 これに対して、同時廃止の場合は破産管財人が調査することがないため、裁判官から一通り事情聴取を受けますが、それでもせいぜい5分ないし10分程度であることが一般的です。

 

 

免責審尋では何を聞かれる?

 

 よく聞かれるのは、①借入が増えた経緯・理由、②支払不能になった理由・経緯、③反省点や現在の生活状況、④自己破産を決意してから気をつけていること、⑤今後、どうやって生活を立て直していくつもりか、といった点ですが、ケースによっては借入の内容(件数やおおよその金額)なども聞かれることがあります。

 

免責審尋を欠席したらどうなる?

 

 免責審尋は平日の日中に行われますが、正当な理由(急病や急な怪我など)なく欠席した場合、免責が不許可になる可能性があります。

 

 たとえば、新型コロナウイルスに感染したり、感染者の濃厚接触者となったような場合であれば正当な理由があるとして欠席が認められると思いますが、この場合には一旦期日を延期し、症状からの回復等を確認した上で、改めて免責審尋を実施することになります。

 

 単に仕事があるという理由で欠席すると免責の判断に不利に働く可能性がありますので、その日だけは休みを取っていただくことになります。

 

 

免責審尋の日は、いつ頃決まるのか?

 

 自己破産を申し立て、裁判所から指示された質問事項への回答や資料の追加提出(補正)が終わると、裁判所は破産手続開始決定を出す準備に入りますので、その際に決まります。

 

 免責審尋は自己破産の申立からおおよそ3ヶ月程度先に指定されることが多いため、急に仕事を休まなければならないということはありません。

 

 ちなみに、管財事件になった場合は破産手続がいつ終わるのか分かりませんので、この場合、免責審尋は破産手続の終結まで行われません。

 

 

免責審尋に出席する際の注意点(服装など)は?

 

 特に決まった服装はないため、例えばスーツで出頭するまでの必要はありませんが、最低現、清潔感があり、社会人として失礼にあたらないような服装は心がけていただければと思います。

 

 弁護士に依頼して自己破産の手続を進めているのであれば、弁護士からこの点のアドバイスを受けていただくことも考えられます(当職もたまに質問を受けることがあります)。

 

まとめ

 

 当職が関与したケースでは、これまで免責審尋で失敗して免責不許可になった例はありませんし、そもそも免責不許可となる割合も非常に低いため過度に心配する必要はありませんが、不安に思うことがあるときはここでお話ししたことを参考にしていただければ幸いです。

 

弁護士 平本丈之亮

 

不貞行為に基づく慰謝料と自己破産

 

 不貞行為に基づく慰謝料請求をしたところ、稀に不貞相手が自己破産をしてしまうことがあります。

 

 不貞行為をされた側としては、自己破産によって責任を免れることには納得がいかないのが通常と思いますが、このような慰謝料は自己破産によって免責の対象となるのでしょうか?

 

慰謝料は自己破産による免責の対象となるのか?

 

 自己破産による免責の対象は、裁判所における破産手続開始決定前の原因に基づいて発生した債権(破産債権)ですが、自己破産の申立前に行われた不貞行為に基づく慰謝料請求権は破産債権にあたるため、基本的には自己破産の免責の対象となります。

 

免責されない「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」の意味

 

 もっとも、破産法では、自己破産によっても責任が免除されない「非免責債権」が規定されていますので、不貞行為に基づく慰謝料の請求権が非免責債権に該当すれば、たとえ自己破産をしても責任は免れないことになります。

 

 破産法上の非免責債権のうち、慰謝料が該当するかどうかが問題となるのは、破産法253条1項2号に定める「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」ですが、ここでいう「悪意」とは、法律の世界での一般的な「悪意」、つまりは何かを知っていること(=故意)ではなく、他人を害する積極的な意欲、すなわち「害意」をいうものと解されています。

 

 このような解釈を前提にすると、不貞行為者に「悪意」があったといえるためには、単に不貞行為の相手が既婚者であることを知っているだけでは足りず、家庭の平和を侵害するべく婚姻関係に不当に干渉するような意図が必要であることになります(下記裁判例参照)。

 

東京地裁令和2年11月26日判決

「破産法253条1項2号は、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」を非免責債権とする旨を規定しているところ、同号にいう「悪意」は、単なる故意ではなく、他人を害する積極的な意欲、すなわち「害意」をいうものと解するのが相当である。ここで、不貞行為が不法行為となるのは、婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであることに鑑みると、夫婦の一方と共に不貞行為を行った者が、当該夫婦の他方が有する婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するとの認識を有するだけでは、故意が認められるにとどまる。このような者に害意を認めるためには、当該婚姻関係に対し社会生活上の実質的基礎を失わせるべく不当に干渉する意図があったことを要するものというべきである。」

 

慰謝料は免責の対象となる可能性がある

 

 このように、慰謝料請求権が非免責債権に該当するかどうかは不貞関係当時の不貞相手の主観によりますが、不貞行為に及んだ者がことさらに結婚関係を破壊する意図を持っていたことを立証することは容易ではないため、実際上、慰謝料請求権が非免責債権に該当すると判断されるケースはあまり多くはないように思われます(上記判決でも、そのような害意があったとまでは認められないとして、不貞行為者側からの破産免責の抗弁が認められています)。

 

慰謝料を請求する際の注意点

 

 以上ご説明したとおり、たとえ慰謝料請求権があるといっても、相手に自己破産されてしまえば免責されてしまうことがあります。

 

 慰謝料を請求する場合、許せないという気持ちから高額な請求をしたり強硬な態度を取りがちですが、相場からかけ離れた金額に固執したり、あるいは相手の支払能力に疑問があるのに高額な金額の一括払いしか応じないなどの対応に終始した場合、必要以上に相手を追い詰めて自己破産されてしまうリスクが生じます。

 

 したがって、慰謝料を請求する場合には、相手に対する情報(収入・社会的地位・財産状況など)をもとに自己破産されてしまう可能性がどの程度あるのかを見極めることが重要であるほか、慰謝料額は妥当な金額にとどめたり、相手の経済状況如何では分割払いも検討するなどの柔軟な対応を検討する必要があります。

 

弁護士 平本丈之亮

新型コロナウイルスの影響で個人事業主が自己破産をする場合の予納金(破産管財人費用)の立替制度について(終了)

 

 個人事業主が自己破産をする場合にネックになるのが、破産管財人の費用として裁判所に納めなければならない予納金です。

 

 この予納金は個人事業主の事業規模によって金額がまちまちですが、零細事業者でも20万円程度は収めなければならないことがあり、負債額が大きかったり、財産処分が必要など破産管財人の行う業務が多くなれば、その分金額が増えていきます。

 

 そのため、個人事業主が自己破産をするときは、まずは裁判所の予納金をどのように捻出するかが最優先の検討事項となることがありますが、一定期間、法テラスが一部の個人事業者について予納金の立て替えを可能にする制度を設けましたので、ここではこの制度の利用条件などについて説明します。

 

【令和3年7月28日追記】

本特例は、令和4年3月31日まで延長されることになったと法テラスより告知がありました。

 

【令和4年2月9日追記】

 本特例については、残念ながら令和4年3月31日をもって終了する旨、法テラスより告知がありました

 

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置に関し、事業の継続が困難になったことに起因して支払不能に陥った場合であること

 この制度を利用できる個人事業者は、上記の通り新型コロナウイルスの感染拡大やその防止のための措置(営業自粛要請等)によって事業継続が困難になったことが条件となっています。

 

 そのため、新型コロナウイルスとは無関係の理由で支払不能になった場合(例えば浪費がメインの場合など)にはこの立替制度は利用できません。 

 

令和3年4月1日から9月30日までに支出申立が行われること

 この措置には利用期限があり、基本的には上記の期限内に支出の申立が必要となります。

 

 また、法テラスからの告知によると、予算が枯渇した場合には期間を短縮する可能性があるとのことですので、その点にも注意が必要です。

 

上限は20万円であること

 法テラスが立て替えてくれる予納金の上限は20万円となっていますので、事業規模がそれなりに大きい場合には不足分を自己資金で補う必要があります。

 

会社破産やその代表者の破産は対象外

 この制度は、あくまで個人事業者が自己破産をする場合に予納金を立て替えるものですので、会社破産には利用できません。

 また、会社が破産する場合、代表者も自己破産することがありますが、その際の代表者は個人事業者ではないため、同様にこの制度の対象外です。

 

弁護士 平本丈之亮

 

自己破産と給料の差押え

 

 自己破産を考えなくてはならない方が相談に来られると、既に債権者から給料の差押えを受けていたり、そこまでには至らなくても裁判を起こされているというケースがあります。

 今回は、自己破産を申し立てる前に給料を差し押さえられた場合、その後の自己破産手続において差押えがどうなるのかについてお話しします。

 

同時廃止の場合

 自己破産には、破産管財人が選任される「管財事件」と、破産か在任が選任されない「同時廃止」の2つのパターンがあります。

 このうち、同時廃止の場合では、破産手続開始決定により給料の差押えが「中止」されます。

 中止された給料の差押えについては、その後に免責許可決定が確定した時点で失効し、それ以降は給料を満額受け取ることができるようになります。

 破産手続開始決定から免責確定までは概ね3~4ヶ月程度を要しますが、その間の差押相当額(通常は手取りの4分の1)については、職場が手元にプールするか法務局に供託するため、免責許可決定の確定後、職場から直接プール金を受け取るか、供託先の法務局から支払いを受けることになります。

 なお、執行裁判所は破産手続開始決定を知りませんので、同時廃止により強制執行を中止してもらったり、免責許可決定の確定後に給料を受け取れるようにするためには、その都度、破産手続開始決定書、免責許可決定書やその確定証明書を執行裁判所に提出する必要があります(免責許可決定確定までの間に職場が供託していた給料の一部を支払ってもらう場合には、別途、執行裁判所に供託金返還について上申し、払渡額の証明書を取得して法務局に請求します)。

 

管財事件の場合

 これに対して、管財事件の場合は破産手続開始決定によって差押手続が失効しますので、同時廃止の場合よりも早期に給料を受け取ることが可能になります。

 実務的には、破産管財人から執行裁判所へ破産手続開始決定があったことについて上申書を提出してもらい、差押手続を終了させることになりますが、管財事件になることが見込まれるケースの場合には、同時廃止よりも給料を受け取れるようになる時期を早められる可能性がありますので、スピード感をもって準備することが重要です。

 

破産手続開始決定後に新たに差押えをされることはない

 以上、破産申立前に既に差押えがされている場合の流れについてご説明しましたが、破産手続の開始決定が出た時点でまだ差押えがなされていなかった場合には、それ以降、新たに差押えをされることはありません。

 このように、申立の時点で既に給料を差押えされている場合には職場を巻き込んでしまうことになりますが、適切かつ迅速に自己破産の申立を行えば、給料の差押えに至ることなく手続を進めることができますので、自己破産を検討している場合には早めの対応をお勧めします。

 

弁護士 平本丈之亮

 

個人破産と債権者集会について~自己破産⑭~

 

 自己破産のご相談やご依頼を受けると、債権者集会とはどのようなものかについて尋ねられることがあります。

 

 ひとくちに債権者集会といっても、どういう場合に開催され、具体的にどのような手続が行われるのかはなかなかイメージが沸かないと思いますので、これから自己破産を検討している方や債権者集会を迎える予定の方について、よくあるご質問についてお答えしたいと思います(対象はいわゆる個人破産です)。

 

Q1 どういう場合に開かれるのか?

 破産管財人が選任される場合です。

 

 資産がなく借入の理由にも大きな問題がない場合には、「同時廃止」といって破産管財人が選任されませんが、このケースでは債権者集会も開かれません。

 

 もっとも、借入理由に問題がある場合、同時廃止となり債権者集会は開かないものの、裁判所に出頭して裁判官との面談(免責審尋)が必要になる場合はあります(なお、免責審尋に債権者は出頭しません)。

 

Q2 破産手続開始決定からどれくらいで開かれるのか?

 ケースバイケースですが、概ね破産の決定から3ヶ月程度後に開催されます。

 

Q3 債権者はどの程度出席するのか?

 ケースバイケースですが、債権者が金融業者や信販会社などのみであればほとんど債権者は出席しません。

 

 個人でも事業を営んでいた場合には取引先が出席する場合があり、家賃の滞納がある場合に大家さんが出席することもありますが、どちらかといえばレアケースです。

 

 出席率が高いのは、個人からの借入がある場合です。

 

 出席する理由は借入の理由や金額によって様々であり、直接意見を言いたいという強い希望がある場合から、特に何か言いたいことがあってきたわけではなく裁判所から手紙が届いたから来ただけという場合までありますが、一銭も返さずに破産していたり借りてすぐ破産した場合等問題があると、債権者集会が紛糾することもあります。

 

Q4 時間はどれくらいかかるか?

 債権者が出席しない場合には、概ね10分程度です。

 

 債権者が出席している場合には、破産管財人が破産に至る経緯や財産状況などを丁寧に説明し、債権者からの質問に対して応答することになりますので、この場合には30分程度かかることもあります。

 

Q5 どのような服装が望ましいか?

 特に決まりはありませんが、ラフな格好やだらしない格好はお勧めしません。

 

 先ほど述べたとおり債権者が出席しないことも多いですが、身だしなみも債権者に対する誠意の表れですので、債権者が来る来ないにかかわらず、自分なりにきちんとした外見を心がける必要があります。

 

Q6 破産者は債権者集会で何か発言を求められるのか?

 債権者が出席している場合には、少なくとも債権者に対して謝罪をすることが望ましいところですが、代理人弁護士がついているケースでは、基本的にはそれ以外は代理人が対応するのが通常です。

 

 債権者が出席しない場合で、かつ、破産手続が次回に続行される場合には、特に発言しないままその日の集会が終わることもまれではありません。

 

 他方、その日で破産手続が終了する場合だと、債権者集会後に引き続き行われる免責審尋において、裁判官から借入の経緯や反省点、生活再建に向けて取り組んでいることなどについて質問があり、自分自身の言葉で伝えることが求められます。

 

 ここは代理人の弁護士に任せることができずご自分で対応する必要がありますので、免責審尋が行われそうなタイミングでは、裁判所に提出した書類を見直したり反省点などを改めて考えておくなど準備をしておくことが重要です。

 

 まれに、弁護士に依頼したことで安心してしまい当事者意識が薄くなる方もいらっしゃいますが、そのような方は裁判官に見抜かれて厳しく追及されることもありますので最後まで抜かないよう注意が必要です。

 

Q7 債権者集会が続行される場合、次の集会期日はいつ頃になるか?

 ケースバイケースですが、通常3ヶ月程度です。

 

Q8 債権者集会を欠席するとどうなるのか?

 正当な理由のない欠席は説明義務に違反するとして免責不許可事由に該当するため、大きな問題となります。

 

 急な体調不良などやむを得ない場合は、緊急性の程度にもよりますが可能な限り診断書などを提出したうえで、次回の債権者集会には必ず出頭するようにします。

 

 なお、仕事の都合などは基本的には正当な理由にあたりません。

 

 

 

 いかがだったでしょうか?

 

 債権者集会は破産管財人が選任されるケースでは避けて通れない手続ですので、ここでお話ししたことや代理人弁護士からのアドバイスなどからイメージをつかんでいただき、誠実に対応していただきたいと思います。

 

弁護士 平本丈之亮 

 

お問い合わせはこちら
債務整理専用WEB予約

 

メール予約フォーム

 

019-651-3560

 

※借金問題については、平日以外にも専用のWEB予約カレンダーによる土日相談を受け付けています。なお、カレンダーで予約可能日となっていない土日でもご相談をお受けできることがありますので、お急ぎの場合はお電話かメール予約フォームでお問い合わせください。

スマートフォン(スマホ)の課金で作った借金で自己破産はできるのか?~自己破産⑬~

 

 スマートフォンの普及によって、多くの方が気軽にゲームなどを楽しむことができるようになりました。

 

 一方、このように気軽に始めることができることから、近時、ソーシャルゲーム等への課金によって多額の負債を抱え、支払不能に陥る方がいらっしゃいます。

 

 このような場合に、自己破産はできるのか、というのが今回のテーマです。

 

自己破産は可能だが、破産管財人が選任される可能性がある

 このようないわゆる「スマホ課金」も、ギャンブルと同様に浪費であるため、免責不許可事由に該当します。

 

 もっとも、免責不許可事由があっても、実際に免責が不許可になる割合は非常に低いため、スマホ課金が原因で借金を作ってしまった場合でも自己破産できる可能性は高いといえます。

 

 しかし、借金の理由が浪費であることから、借金の金額などの事情によっては破産管財人の選任が必要となり、そのような事情がない場合に比べて裁判所に対して納めなければならない費用が高額になる可能性があります。

 

申立までの準備をきちんと行う必要がある

 スマホ課金が免責不許可事由に該当する以上、原因であるゲーム等をそのまま継続することは免責にとってマイナスになるため、ゲーム等をやめることが必要です。

 

 また、なぜそのような過大な課金をしてしまったのか、その原因について自分なりにきちんと考えて、借金を作った原因や反省点などを陳述書に記載し、反省が本物であることを裁判所に示す必要もあります。

 

 弁護士などに依頼した場合には、第三者の視点からご自身の問題を指摘してもらったり反省すべき点などについて議論し、それらを形にする手助けをしてもらえますので、不安がある場合には依頼を検討していただくことになります。

 

免責が認められない可能性が高い場合の対応

 スマホ課金によって作った借金があまりに高額であったり、それ以外にも複数の免責不許可事由があるなど、どうしても免責が認められなさそうであるというケースもまれに存在します。

 

 このような場合には、次善の策として個人再生を選択することになります。

 

 個人再生については、基本的には借り入れの理由は問題視されないことが多いため、自己破産が困難であると判断した場合にはこちらの利用を検討することになります。

 

 なお、自己破産で免責が許可される可能性が高いと思われるケースでも、自分の浪費によって破産するのは債権者に対して申し訳ないなどの理由から、一部でも返済するためにあえて個人再生を選ぶ方もいらっしゃいますが、支払能力があるのであれば、初めから個人再生を選択しても問題はありません。

 

携帯電話が使えなくなる可能性に注意

 スマートフォンでの課金については、通信料と合算して支払うキャリア決済が一般的ですが、スマホ課金によって支払い不能に陥ると、多くの場合サービス料金だけではなく通信料についても支払いができない状況に陥っています。

 

 このような事態にまで至ると、最終的には携帯電話の通信契約自体が強制解約されてしまう可能性もあり、不利益も大きくなります。

 

 したがって、通信料の滞納も発生しているようなケースで自己破産などの法的手続きを行う場合には、最悪、そのような事態が生じる可能性があることを考慮して別の通信契約をどのように確保するかもあらかじめ検討しておくことが必要です。

 

 もっとも、新しい通信契約を確保するために、破産直前に別の通信会社との間で携帯本体を分割払いで購入したりすると、結局その分割債務も破産債権として破産手続に入れざるを得なくなり同じことの繰り返しになる可能性がありますし、支払いの意思がないにもかかわらず契約したとして手続上問題になる危険がありますので、どのようなやり方で通信契約を確保するかについては専門家に相談することをお勧めします。

 

 当職自身、スマートフォンの課金が借金の大きな割合を占める債務整理のご相談を受け、自己破産や個人再生で解決した例が複数あります。

 

 通信契約は生活インフラであるため比較的慎重な対応が必要になりますが、きちんと準備して見通しをもって臨めば他の借金のケースと同じように解決できますので、お困りの場合はまずは最寄りの弁護士などへご相談ください。

 

弁護士 平本丈之亮

 

 

 

債務整理のご相談はこちら
債務整理専用WEB予約

 

メール予約フォーム

 

019-651-3560

 

※借金問題については、平日以外にも専用のWEB予約カレンダーによる土日相談を受け付けています。なお、カレンダーで予約可能日となっていない土日でもご相談をお受けできることがありますので、お急ぎの場合はお電話かメール予約フォームでお問い合わせください。

 【受付日・時間等】 

 お電話:平日9時~17時15分

 メール・WEB予約:随時

 【営業日時】 

 平日:9時~17時15分

 土曜日曜:予約により随時

個人の自己破産の手続にかかる期間は?~自己破産⑫~

 

 自己破産を検討しているときに、どれくらいで手続が終わるのかとても気になると思います。

 

 個人の自己破産には、破産管財人がつかない簡易なケース(同時廃止)と、破産管財人がつくケース(管財事件)の2つのパターンがありますが、今回はその2つのそれぞれについて、概ねどれくらいで最後の手続まで終わるのかについてお話しします。

 

同時廃止

申立までの期間:1~3か月

 

 破産管財人がつかない簡易なケースは、基本的に財産がない場合で、かつ、借り入れの理由にも大きな問題がないパターンですので、準備期間にはそれほど時間はかかりません。

 

 もっとも、裁判所に提出する書類の中に、申立前2か月間の家計の収支を記載した収支表を添付する必要があり、経験上、この収支表をきちんと作るのに苦労するパターンが多くあるため、その他の書類の準備と合わせて少なくとも2か月間は準備期間を要することが多い印象です。

 

 もっとも、すでに給料の差押えがなされているなど緊急性が高い事案だと、それよりも短い期間で申し立てする場合もありますが、1か月未満で申し立ての準備ができる方はまれですので、事実上、1か月くらいはかかることが多いと思います。

 

 他方、2か月間というのもその他の書類をきちんと準備できる標準的なスケジュールであり、仕事をしながらの準備等でどうしても時間がかかることも多いため、当職の経験では3か月程度かかる場合もあります。

 

 このように、破産申立までの期間についてはご本人の状況にかかる部分も大きいため、早期の申立てを希望する場合には準備に力を入れて行うことが必要となります。

 

破産申立から破産手続開始決定まで:1週間~1か月程度

 

 この期間は裁判所が書類の審査をするものであり、申立時に提出した書類に不備がないかどうか、記載内容に不明な点がないかどうかによってまちまちですが、経験上、長くても1か月程度です。

 

 弁護士が関与する場合には、あらかじめどこが裁判所で問題になるかを予想し、申立の段階から必要な書類を提出したり上申書を作成して事情を説明して時間の短縮を図りますので、ここが弁護士に依頼するメリットの一つでもあります。

 

破産手続開始から免責決定まで:概ね3か月

 

 裁判所の審査が終わり、問題がなければ破産手続が開始され、それと同時に手続が廃止されますが(これが同時廃止)、その後、免責を検討するまでに概ね3ヵ月程度かかります。

 

 この期間については、完全に書面審査だけで終わる場合もあれば、免責審尋と言って裁判官の面接を受けるケースもありますが、同時廃止ということは概ね問題がないと裁判所が判断した場合ですので、ここまでくれば免責決定まではあと一息というところまで来ています。

 

免責決定の確定まで:概ね1か月

 

 免責決定が出ても、その後に官報公告と債権者の異議申立期間があるため、確定まで概ね1か月程度かかります。

 

 もっとも、債権者が貸金業者、信販会社などであれば異議を出してくることはほぼありませんので、あまり気にしなくても大丈夫なことが一般的です。

 

管財事件

申立までの期間:まちまち

 

 管財事件であっても、書類の準備そのものは同時廃止の場合とあまり変わりません。

 

 にもかかわらず申し立ての期間がまちまちなのは、管財事件の場合、申立費用が高額になる場合があるからです。

 

 管財事件の場合、非事業者であっても10~30万円程度(場合によっては50万円程度)の予納金を収める必要があり、自己破産を検討している方がこれを短期間で準備することは困難なことがあります。

 

 この場合、予納金を分割で準備することになりますが、そのためにかかる期間はご本人や家族の経済力に左右されるため、どうしても期間が読めないということになります。

 

 そのため、自己破産をするときに管財事件になる場合には、どれくらいの予納金が必要になるかを検討し、それをどのように準備するかをスケジューリングする必要がありますので、弁護士への相談が望ましいと思います。

 

破産申立から破産手続開始決定まで:1週間~1か月程度

 

 この点は同時廃止とあまり変わりません。

 

 もっとも、当初の予定よりも高額な予納金を求められることもありますので、その場合にはもう少し時間がかかることになります。

 

 予納金が不足した場合に裁判所がどこまで待ってくれるかは正直裁判官次第のため明確な指針はありませんので、ケースバイケースで対応し、残念ながら申立を一旦取り下げざるを得ないこともあります。

 

破産手続開始から免責決定まで:3か月以上(まちまち)

 

 管財事件の場合、概ね破産手続開始決定から3か月後に債権者集会が開かれ、財産の売却などが不要なケースであればそこで免責決定まで行くこともあります。

 

 他方、不動産の売却等の財産処分や配当を行うケースの場合には、3か月で終わらずにもっと時間がかかりますが、そのような事案もどの程度の時間がかかるかはケースバイケースです。

 

免責決定の確定まで:概ね1か月

 

 この点は同時廃止と変わりません。

 

 いかがでしょうか?

 

 ひとくちに自己破産といっても、その人の事情によって裁判所での手続きにかかる期間はまちまちですが、申立てまでにかかる準備期間や破産手続開始決定までの期間は事前準備によって短縮することができますので、準備は念入りに行うことをお勧めします。

 

 弁護士 平本丈之亮

 

 

 

債務整理のご相談はこちら
債務整理専用WEB予約

 

メール予約フォーム

 

019-651-3560

 

※借金問題については、平日以外にも専用のWEB予約カレンダーによる土日相談を受け付けています。なお、カレンダーで予約可能日となっていない土日でもご相談をお受けできることがありますので、お急ぎの場合はお電話かメール予約フォームでお問い合わせください。

 【受付日・時間等】 

 お電話:平日9時~17時15分

 メール・WEB予約:随時

 【営業日時】 

 平日:9時~17時15分

 土曜日曜:予約により随時

 

自己破産をするときにやってはいけないこと~自己破産⑪~

 

 個人の借金問題に関する債務整理の方法は、大きく分けると①任意整理、②自己破産、③個人再生がありますが、このうち自己破産と個人再生は法的整理と言われるとおり、法律に基づいた債務整理の方法です。

 

 いずれも適切なやり方をすれば、借金をなくしたり自宅を確保しながら負債を圧縮したりできる強力な手続ですが、その反面、知らずにやってしまうとそのような恩恵を受けられなくなったり、そこまでいかなくても手続面で不利な扱いを受ける行為というものがあります。

 

 今回は、法的整理のうち、自己破産を考えている方向けのお話として、どのようなことをしてはいけないのかについてお話したいと思います(なお、自己破産でやってはいけないことは基本的には個人再生でもやってはいけないことと思っていただいて差し支えありません)。

 

資産隠しや手続の直前に財産を移転すること

 自己破産における免責の制度は、誠実な債務者に立ち直りの機会を与えることを目的としていますので、財産をどこかに隠したり、処分を逃れるために親族や知人などに財産を渡したり名義を変えるような不誠実な者に対しては免責は許可されません。

 

 このような行為は、そもそも調べれば分かることがほとんですし、仮に発覚せずに手続きが終わったとしても、その後で資産隠しが判明した場合には免責が取り消されますので行うべきではありません。

 

 実際にも、破産直前に離婚して相手から解決金を受領したにもかかわらず、これを隠したという理由で免責不許可になったケースもあるようです。

 

虚偽の債権者名簿を提出すること

 これまで世話になったので返したいといった理由から、親戚など親しい人に対する負債を申告しなかった場合、単にその債権者に対する借金が免責されないだけではなく、借金全体について免責が認められなくなる可能性がありますので、債権者については正直にすべて申告することが必要です。

 

陳述書に虚偽の記載をしたり裁判所からの問い合わせに虚偽の事実を述べること

 自己破産をする場合、裁判所に「陳述書」という書類を作成して提出することになっていますが、その中で借入の経緯や過去に処分した財産などを記載する箇所があります。

 

 また、自己破産の申立をした後、裁判所が疑問に思ったことについて回答を求められることがあります。

 

 このような裁判所に提出する書類や問い合わせに虚偽を記載したり述べることも許されません。

 

 たとえば、ギャンブルや浪費等の免責不許可事由があっても、きちんと申告すれば、(そのような事情がない場合に比べて費用が高くなる可能性はありますが、)最終的に免責が許可される可能性の方がよほど高いため、正直に申告することが重要です。

 

一部の債権者にだけ特別に支払いをしたり財産に担保を設定すること

 これも親戚などからの借り入れがあった場合にありがちなケースですが、このような特別扱いをした場合、本来なら破産管財人がつくような事案ではないのに破産管財人が選任されて余分な費用がかかるほか、破産管財人によって財産の取戻しが行われることになり(否認権)意味がないばかりか、かえって相手にも迷惑をかけるだけで無意味な行いです。

 

免責審尋や債権者集会に正当な理由なく出席しないこと

 自己破産を申し立てると、免責を許可するかどうかを判断するために裁判所に出頭する手続(免責審尋)が開かれることがあるほか、破産管財人が選任されるケースでは債権者集会に出席する必要があります。

 

 免責審尋や債権者集会において裁判官や債権者からの質問等に答えることは債務者の誠実さに直結するものであり、これらの手続に出席しないと免責不許可になる危険性が高くなります。

 

 もっとも、病気等の正当な理由があれば、事前に相談したうえで出席しなくても手続を進められる場合がありますので、やむを得ない事由があるときは事前に代理人弁護士や裁判所と良く相談することが重要です。

 

破産管財人の調査を拒否したり妨害すること

 破産管財人が選任されるケースでは、破産管財人が破産者の財産状況や借入に至る経緯等を調査し、財産があればこれをお金に換えて債権者に分配する手続きが行われますが、その過程において、破産管財人から破産者に質問がなされたり、資料の提出を求められたり、財産の処分にあたって現地への立ち合いなどの協力を求められることがあります。

 

 破産者がこのような破産管財人からの調査要求を拒否したり妨害した場合、破産法上の義務に違反するため、免責が許可されなくなる危険性があります。

 

誠実さに勝る対策はない

 以上のとおり、自己破産においては破産者の誠実さが非常に重視されていることがお分かりいただけたかと思います。

 

 今回お話したような事情は法律を詳しく知らなくても問題があることは明らかですが、もしも判断に迷うことがあった場合には一人で悩むことなく、弁護士への相談や依頼をご検討いただければと思います。

 

 弁護士 平本丈之亮

 

特別定額給付金・子育て世帯臨時特別給付金と差押・自己破産

 

 新型コロナウイルス感染症が市民生活に大きな影響を与えていることに鑑み、各地で特別定額給付金と子育て世帯臨時特別給付金の支給手続が始まっています。

 今回は、このような特別定額給付金・臨時特別給付金が差押えや自己破産との関係でどのように取り扱われる可能性があるのかについてお話ししたいと思います。

 

特別定額給付金・臨時特別給付金は差押禁止財産=自由財産

 本年4月30日、「令和二年度特別定額給付金等に係る差押禁止等に関する法律」が公布、施行されました。

 この法律によれば、以下の2つは差押が禁止されますが、差押えが禁止されるということは破産手続上も処分を必要としない「自由財産」として扱われるということですので、この2つは自己破産をしても処分されることはありません(個人再生手続における最低弁済額の算出のための清算価値にも含まれないと思われます)。

 

 ①国民一人当たり一律10万円の特別定額給付金 

 

 ②児童手当を受給する世帯に対し,児童一人当たり1万円を上乗せする子育て世帯臨時特別給付金 

 

受給権だけではなく、実際に交付された金銭も差押えが禁止される

 この法律では、支給を受ける前の段階の権利(受給権)だけではなく、支給された後の金銭についても差押えが禁止されています。

 そのため、既にお金を受け取っている人であっても差押えや破産によってこれらの給付金を処分されることはありません。

 

預金としての保管には注意が必要

 以上のように、特別定額給付金と子育て世帯臨時特別給付金は差押えが禁止されますが、既に支給を受けて口座に振り込まれると預金債権に転化します。

 差押禁止債権が預金債権に転化した場合、差押禁止債権としての性質を受け継がないのが原則であるというのが裁判所の考え方であり、給付金を預金として保管している場合には口座の差押えという形で不利益を受ける危険性がありますので、リスクを減らすには現金で保有しておくのが無難と思われます。

 

万が一給付金が入った口座が差し押さえられてしまったら?

 とはいえ、10万円から数十万円ものお金を現金で持っているのは難しい場合もあり、預金として保管せざるを得ない方も多いと思います。

 もし、給付金の入っている口座の差押えが行われてしまった場合には、「差押禁止債権の範囲変更の申立」を行い、預金の原資が給付金であることを立証することによって事後的に差押えを免れることができる可能性があります。

 もっとも、一旦給付金が口座に入金され、その後、給料など他の収入と混じり合ってしまった場合には、どこまでが給付金なのか分からなくなってしまうことがあり、このことが理由で変更の申立が認められなくなる可能性もありますので、口座に保管せざるを得ないという場合には、せめて、他に収入が入らない口座に入れておくことが望ましいと思います。

 

差押債権者が税務署や自治体の場合

 これに対して、差押えを行ったのが一般債権者ではなく税務署や自治体などの場合、差押禁止債権の範囲変更の手続きは利用できません。

 万が一このようなことがあった場合には、過去に本HPでご紹介した裁判例に基づき滞納処分は違法であるとして争う余地も残されているとは思いますが、そもそも一旦滞納処分がなされた後で交渉などするにしても時間がかかり、本当に必要なときに使えないというデメリットが大きすぎますので、やはり現金での保有が無難であると思います。

 

弁護士 平本丈之亮

 

2度目の自己破産で免責を受けることはできるのか~自己破産⑩~

 

 ご相談を受けていると、過去に自己破産をしているが、2度目の自己破産を考えているというケースに出会うことがあります。

 

 では、一度破産している方が、改めて自己破産して免責を受けることはできるのでしょうか?

 

免責決定の確定から7年以内だと原則として免責は受けられない

 法律上、免責決定が確定してから7年以内であることが免責不許可事由とされているため(破産法第252条1項10号イ)、その期間内だと原則として2度目の免責は認められません。

 

 もっとも、再び破産しなければならなくなった理由がやむを得ないものである場合、たとえば病気や会社の倒産で失職したため生活のために借りざるを得なかったような場合には、例外的に2度目の免責が認められることもあり得ます。

 

 ただし、原則として認められないところを例外的に認めてもらおうということですから、本当にやむを得ない事情があるかどうかを慎重に判断するため、裁判所から破産管財人をつけてくださいと言われる可能性は高く、自己破産するための費用が余分にかかることは覚悟が必要です。

 

7年以上経過している場合には免責不許可事由にあたらないが、厳しく見られる傾向がある

 以上に対して、一度目の破産から7年が経過している場合には、法的には免責不許可事由にはあたりません。

 

 もっとも、過去に破産をしているにもかかわらず再び破産する場合には、家計管理などに何らかの問題があるのではないかとみられ、法的には免責不許可事由に該当しないものの、調査のため破産管財人の選任を求められる場合が多くあります。

 

 他方で、2度目の破産に至った事情がやむを得ないものであり、一度目の破産から相当の期間が経過しているようなケースでは、破産管財人をつけないで免責を受けることができたということもありましたので、この点はケースバイケースです。

 

 このように、一口に2度目の破産と言っても様々な事情があるため、必ず免責が受けられる、受けられないと述べることはできませんが、上記のとおり事情によっては認められる余地はありますし、仮に免責が認められない場合でも任意整理や個人再生など他の債務整理の方法によって解決できる場合もありますので、迷われた場合には専門家にご相談されることをお勧めします。

 

弁護士 平本丈之亮