債務整理を考え、自己破産を決断したときに次に気になるのは、自分の借金が本当に免除されるかどうかだと思います。
以前のコラム(「自己破産できない場合とは?~自己破産⑤・免責不許可事由2~」)でもお話ししたように、自己破産しても借金が免除されない場合はありますが、では、実際上、免責が不許可になるのはどれくらいの割合なのでしょうか?
この点について、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会では、3年に一度、破産事件についての調査を行っています。
不許可となったケースはわずか
直近の調査(2017年)は2016年6月1日から11月30日までの間における各地の破産記録から無作為に抽出した1238件についてのものであり、1年間のすべての破産記録を調査したわけではありませんが、これによると、免責不許可となったのは7件(0.57%)だったそうです(取り下げや死亡による終了などの割合も除くと,許可率は96.77%)。
なお、過去の調査結果は以下の通りであり、これをみると、調査対象が全ての事件ではないことを考慮しても、多くの事件で免責が許可されていると言って良い状況と思われます。
2014年調査 0%
2011年調査 0.08%
2008年調査 0.17%
2005年調査 0.26%
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このように、免責については広く許可が出ている状況ですが、他方で、裁判所から免責について否定的な見解を示されて申立の取り下げを促された結果、個人再生に方針を変更したとか、安全策をとって最初から個人再生の方向で進めたなど、免責不許可という事態が表面化しなかっただけというケースもそれなりにあるのではないかと思っています。
免責不許可となる可能性がどの程度あるのかはその人自身の抱えている問題によって大きく変わり、この調査結果だけでは結論を出せませんので、ご自分で破産を申し立てることを検討している方でも、気になる方は一度弁護士や司法書士などの専門家に相談されることをお勧めします。
弁護士 平本丈之亮