新型コロナウイルスの影響で個人事業主が自己破産をする場合の予納金(破産管財人費用)の立替制度について(終了)

 

 個人事業主が自己破産をする場合にネックになるのが、破産管財人の費用として裁判所に納めなければならない予納金です。

 

 この予納金は個人事業主の事業規模によって金額がまちまちですが、零細事業者でも20万円程度は収めなければならないことがあり、負債額が大きかったり、財産処分が必要など破産管財人の行う業務が多くなれば、その分金額が増えていきます。

 

 そのため、個人事業主が自己破産をするときは、まずは裁判所の予納金をどのように捻出するかが最優先の検討事項となることがありますが、一定期間、法テラスが一部の個人事業者について予納金の立て替えを可能にする制度を設けましたので、ここではこの制度の利用条件などについて説明します。

 

【令和3年7月28日追記】

本特例は、令和4年3月31日まで延長されることになったと法テラスより告知がありました。

 

【令和4年2月9日追記】

 本特例については、残念ながら令和4年3月31日をもって終了する旨、法テラスより告知がありました

 

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置に関し、事業の継続が困難になったことに起因して支払不能に陥った場合であること

 この制度を利用できる個人事業者は、上記の通り新型コロナウイルスの感染拡大やその防止のための措置(営業自粛要請等)によって事業継続が困難になったことが条件となっています。

 

 そのため、新型コロナウイルスとは無関係の理由で支払不能になった場合(例えば浪費がメインの場合など)にはこの立替制度は利用できません。 

 

令和3年4月1日から9月30日までに支出申立が行われること

 この措置には利用期限があり、基本的には上記の期限内に支出の申立が必要となります。

 

 また、法テラスからの告知によると、予算が枯渇した場合には期間を短縮する可能性があるとのことですので、その点にも注意が必要です。

 

上限は20万円であること

 法テラスが立て替えてくれる予納金の上限は20万円となっていますので、事業規模がそれなりに大きい場合には不足分を自己資金で補う必要があります。

 

会社破産やその代表者の破産は対象外

 この制度は、あくまで個人事業者が自己破産をする場合に予納金を立て替えるものですので、会社破産には利用できません。

 また、会社が破産する場合、代表者も自己破産することがありますが、その際の代表者は個人事業者ではないため、同様にこの制度の対象外です。

 

弁護士 平本丈之亮