スマートフォンの普及によって、多くの方が気軽にゲームなどを楽しむことができるようになりました。
一方、このように気軽に始めることができることから、近時、ソーシャルゲーム等への課金によって多額の負債を抱え、支払不能に陥る方がいらっしゃいます。
このような場合に、自己破産はできるのか、というのが今回のテーマです。
このようないわゆる「スマホ課金」も、ギャンブルと同様に浪費であるため、免責不許可事由に該当します。
もっとも、免責不許可事由があっても、実際に免責が不許可になる割合は非常に低いため、スマホ課金が原因で借金を作ってしまった場合でも自己破産できる可能性は高いといえます。
しかし、借金の理由が浪費であることから、借金の金額などの事情によっては破産管財人の選任が必要となり、そのような事情がない場合に比べて裁判所に対して納めなければならない費用が高額になる可能性があります。
スマホ課金が免責不許可事由に該当する以上、原因であるゲーム等をそのまま継続することは免責にとってマイナスになるため、ゲーム等をやめることが必要です。
また、なぜそのような過大な課金をしてしまったのか、その原因について自分なりにきちんと考えて、借金を作った原因や反省点などを陳述書に記載し、反省が本物であることを裁判所に示す必要もあります。
弁護士などに依頼した場合には、第三者の視点からご自身の問題を指摘してもらったり反省すべき点などについて議論し、それらを形にする手助けをしてもらえますので、不安がある場合には依頼を検討していただくことになります。
スマホ課金によって作った借金があまりに高額であったり、それ以外にも複数の免責不許可事由があるなど、どうしても免責が認められなさそうであるというケースもまれに存在します。
このような場合には、次善の策として個人再生を選択することになります。
個人再生については、基本的には借り入れの理由は問題視されないことが多いため、自己破産が困難であると判断した場合にはこちらの利用を検討することになります。
なお、自己破産で免責が許可される可能性が高いと思われるケースでも、自分の浪費によって破産するのは債権者に対して申し訳ないなどの理由から、一部でも返済するためにあえて個人再生を選ぶ方もいらっしゃいますが、支払能力があるのであれば、初めから個人再生を選択しても問題はありません。
スマートフォンでの課金については、通信料と合算して支払うキャリア決済が一般的ですが、スマホ課金によって支払い不能に陥ると、多くの場合サービス料金だけではなく通信料についても支払いができない状況に陥っています。
このような事態にまで至ると、最終的には携帯電話の通信契約自体が強制解約されてしまう可能性もあり、不利益も大きくなります。
したがって、通信料の滞納も発生しているようなケースで自己破産などの法的手続きを行う場合には、最悪、そのような事態が生じる可能性があることを考慮して別の通信契約をどのように確保するかもあらかじめ検討しておくことが必要です。
もっとも、新しい通信契約を確保するために、破産直前に別の通信会社との間で携帯本体を分割払いで購入したりすると、結局その分割債務も破産債権として破産手続に入れざるを得なくなり同じことの繰り返しになる可能性がありますし、支払いの意思がないにもかかわらず契約したとして手続上問題になる危険がありますので、どのようなやり方で通信契約を確保するかについては専門家に相談することをお勧めします。
当職自身、スマートフォンの課金が借金の大きな割合を占める債務整理のご相談を受け、自己破産や個人再生で解決した例が複数あります。
通信契約は生活インフラであるため比較的慎重な対応が必要になりますが、きちんと準備して見通しをもって臨めば他の借金のケースと同じように解決できますので、お困りの場合はまずは最寄りの弁護士などへご相談ください。
弁護士 平本丈之亮
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