交通事故でむち打ちになった場合の注意点~交通事故⑱~

 

 車両同士の交通事故で相談が多いのがむち打ちの事例ですが、むち打ちによる交通事故賠償については他の怪我とは異なる注意点がありますので、今回はその点についてお話しします。

 

整形外科を継続的に受診することが望ましい

 整形外科に通う必要性はむち打ちだけに限る話ではありませんが、むち打ち特有の問題として、骨折などと異なり怪我をしたことがレントゲンやCT、MRIなどの画像に映りにくく、怪我の程度や治り具合を客観的に示す資料が乏しいということがあります。

 

 むち打ちの患者さんについて相談を受けていると、当初の数回は整形外科で受診したものの、その後は整骨院や治療院での施術がメインであるケースがありますが、整形外科での治療実績が極端に少ないと慰謝料の計算や後遺障害等級の認定を受ける段階で困ることがあるため注意が必要となります。

 

・整骨院などの施術は?

 

 整骨院等で施術を行う方は医師ではないため、施術の必要性があったかどうかが後で問題とされて慰謝料の計算に影響が出る可能性があり、また、整骨院等では後遺障害診断書を作成することができないことから、医師の継続的な治療を受けていないと事故後の治療経過が不明であったり必要な検査が受けられない結果、医師に後遺障害診断書の作成を断られる場合があります。

 

 そのため、症状の軽減目的で整骨院等に通うことは問題はありませんが、その後の示談交渉等を見据えた場合には、基本的には整形外科へ継続的に通院することが望ましいといえます。

 

適切な頻度で通院すること

 交通事故での通院による慰謝料は基本的には通院期間を基礎として計算されますが、通院の頻度があまりに少ないと相手方保険会社から不相当に低い慰謝料の提示がなされたり、後遺障害の認定上不利益を受けることがあります。

 

 たとえば、交通事故で首のむち打ちになり、半年程度経っても痛みが残って症状固定となった場合、その間、仕事でなかなか病院に通えず月に1回程度しか通院しなかったようなケースだと、そもそも大した怪我ではなかったから慰謝料の算定期間は半年ではなく3か月程度とすべきであるとか、実通院日数の3倍程度を目途に慰謝料を計算するべきであるなどと主張されることがあり、また、通院頻度が少ないことを理由の一つとして後遺障害等級について非該当と判定されることがあります。

 

 このようなケースでも、病院に通えなかったことにやむを得ない事由があったとして正当な金額を主張していくことになりますが、そもそも適切な頻度で通院をしていれば避けられる争いでもあるため、痛みがあるのであれば、可能な限り適切な頻度(概ね週に2~3回程度)での通院を心がけていただきたいと思います。

 

・後から通院を増やしても意味はない

 

 なお、通院頻度のお話をすると、当初は通院回数が少なかったのに治療後期になってから通院回数を増やした場合はどうなのかという問題がありますが、無理に通院頻度を増やしても意味はありません。

 

 なぜなら、人間の身体は事故から時間が経過していくことによって徐々に回復していくのですから、事故直後は痛みが強いため通院頻度が多く、時間の経過によって徐々に頻度が減っていくことが治療経過としても自然であってその逆は不自然だからです。

 

自覚症状は事故当初からすべて伝え、事故直後に必要な検査は受けておく

 むち打ちで後遺障害が残った場合は後遺障害等級認定を受けることになりますが、むち打ちはレントゲン等の画像に所見がみられないことが多いため、きちんとした認定をしてもらうためには、適切な通院頻度や後で述べる神経学的検査の受診などのほかに、症状の一貫性が重要となります。

 

 症状の一貫性とは、要するに事故直後から後遺障害診断時まで一貫して症状があることですが、後遺障害等級認定は書面審査であるため、当初の診断書に記載されていなかった自覚症状が治療途中や後遺障害診断書作成時に出現しているなど、症状に一貫性が認められない場合、そのことを理由に等級認定上不利益を受けることがあります。

 

 そのため、自覚症状がある場合には初めから医師に漏れなく伝えておくことが必要となります。

 

 また、むち打ちについては確かに画像に出にくいところではあるのですが、撮ってみれば画像上所見が得られる場合もありますので、後遺障害が予想されるのであればMRIまで受けておいていただきたいと思います。

 

後遺障害が残った場合には後遺障害診断書の作成前に病院で神経学的検査を受ける

 画像検査で所見が出ないことが多いというむち打ちの特徴から、むち打ちで適切な後遺障害の認定を受けるには神経学的検査を受けて医学的所見を得ておくことも重要です。

 

 代表的なものとしては、スパーリングテスト、ジャクソンテストといったものがありますが、そのほかにも関節の可動域検査や徒手筋力検査、筋萎縮検査、神経伝達速度検査などがあり、必要に応じて医師の検査を受診することになります。

 

 

 以上、むち打ちについては慰謝料や後遺障害の等級認定について気を付けるべき点がいくつかあることをご紹介しました。

 

 ここでお伝えしたようなことはあらかじめ知っていればどれも適切に対処できるものですが、すでに治癒したり症状固定してしまってからでは挽回することが困難な場合がありますので、交通事故でむち打ちになった場合には事故の初期段階から弁護士へ相談し、今後の対応を検討しながら治療にあたっていただきたいと思います。

 

 弁護士 平本丈之亮

 

 

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