信号機による交通整理のない交差点において、自転車と四輪車が交差点内で接触した場合の過失割合(四輪車側に一時停止規制がある場合)~交通事故㉘~

 

 前回のコラムでは、信号機による交通規制のない交差点において、一時停止規制のある側を自転車が通行していたところ、直進してきた四輪車と交差点内で接触した事故の過失割合について説明しました。

 

 これに対して今回は、同じような事故状況のうち、自転車側ではなく、四輪車側に一時停止規制があった場合の過失割合についてお話しします。

 

典型的な事故状況

 

【基本の過失割合】

【自転車:自動車=10:90】

 

過失割合の修正要素

 以下のようなケースでは、このような基本的な過失割合が修正されることがあります。

 

【自動車が一時停止後、交差点に進入した場合】

自転車に対して+10% 

 このケースにおける基本的な過失割合は、自動車に一時停止義務違反があることを前提としたものであるため、自動車が一時停止義務を果たした場合には、その分、自動車側の過失割合が減る(自転車側の過失割合が増える)ことになります。

 

【自転車が右側通行し、自動車の左方から交差点に進入した場合】

自転車に対して+5% 

 自転車は原則として道路の左側部分を通行しなければならないため(道路交通法17条4項)、右側通行はこれに反する上に、右側通行をしながら四輪車の左方から交差点に進入した場合(上記の図でいえば、Aの自転車が上から下に向けて右側走行していたケース)、四輪車側からは自転車の発見が難しく、事故回避が困難となる場合があるため、このような修正がなされます。

 

 このように、この場合の修正は、四輪車からみて見通しの良くない通行方法であることが理由となっているため、見通しがきく交差点のときには修正は行われません。

 

 同様に、自転車横断帯がある場合には、自転車は法17条4項にかかわらず自転車横断帯を通行しなければならないため(道路交通法63条の7第1項)、この場合も修正は行われません。

 

【自転車の「著しい過失」・「重過失」】

著しい過失:自転車に+10%

重過失:自転車に+15%

 自転車側に「著しい過失」、「重過失」がある場合には、上記のとおり修正がなされます。

 

自転車の「著しい過失」・「重過失」の具体例

 

 1 著しい過失 

=事故態様ごとに通常想定されている程度を越えるような過失

 

①酒気帯び運転(※1)

 

②2人乗り

 

③無灯火

 

④並進(※2)

 

⑤傘を差すなどの片手運転 

 

⑥脇見運転等の著しい前方不注視

 

⑦携帯電話等で通話しながらの運転や画像を注視しての運転 など

 

※1 血液1ミリリットルあたり0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上が罰則の対象ですが、罰則の適用のない程度の酒気帯びも対象となります。

※2 複数の自転車が並んで走行すること

 

 2 重過失 

=故意に比肩する重大な過失

 

①酒酔い運転(酒気を帯びた上、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転)

 

②いわゆる「ピストバイク」など制動装置の不良 など

 

 なお、高速走行している自転車(原動付自転車の制限速度である時速30㎞程度)については、もはや自転車ではなく単車として扱われ、別の基準が適用されることとされています。

 

 

【児童等・高齢者が自転車に乗っていた場合】

自転車に対して-5%

 児童や高齢者は交通弱者であり保護すべき必要性が高いため、自動車側がより注意するべきであると考えられるためです。

 

 なお、「児童等」とは概ね13歳未満の者を言い、6歳未満の幼児も含みます。

 

「高齢者」とは、概ね65歳以上の者を意味します。

 

【自転車が自転車横断帯を通行していた場合】

自転車に対して-5% 

 「自転車横断帯」とは、道路標識等により自転車の横断の用に供するための場所であることが示されている部分をいいますが、ここから若干外れていても、概ね1~2メートル以内の場所を通行していた程度であれば、自転車横断帯を通行していた場合と同視して良いとされています。

 

【自動車の「著しい過失」・「重過失」】

著しい過失:自転車に対して-5

重過失:自転車に対して-10%

 自動車側に「著しい過失」、「重過失」がある場合には、上記のとおり自転車側の過失割合が減算(自動車側に加算)されます。

 

自動車の「著しい過失」・「重過失」の具体例

 

 1 著しい過失 

=事故態様ごとに通常想定されている程度を越えるような過失

 

①脇見運転などの著しい前方不注視

 

②著しいハンドル・ブレーキ操作の不適切

 

③概ね15㎞以上30㎞未満の速度違反

 

④酒気帯び運転(※) など

 

※ 血液1ミリリットルあたり0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上が罰則の対象ですが、罰則の適用のない程度の酒気帯びも対象となります。

 

 2 重過失 

=故意に比肩する重大な過失

 

①酒酔い運転(酒気を帯びた上、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転)

 

②居眠り運転

 

③無免許運転

 

④概ね時速30㎞以上の速度違反 など

 

 なお、この基準は、一方に一時停止規制がある限り、幅員が同程度の道路が交わる場合だけではなく、広路と狭路が交わる交差点にも適用があります。

 

弁護士 平本 丈之亮

 

 

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