最近、任意整理(=債権者と分割払いの示談交渉を行う債務整理の方法)にチャレンジしたものの、依頼先の法律事務所や司法書士事務所に費用が払えず途中で辞任されてしまったり、和解が成立してもその後の支払いが続かないというケースが見られます。
このような場合、そのまま放置してしまうと債権者から裁判を起こされたり給与の差押えを受けるなど事態を悪化させてしまうことがありますので、今回は任意整理に失敗したと感じた場合の一般的な対応についてお話しします。
費用が払えず事件処理の途中で辞任されてしまった場合
任意整理を開始して受任通知を発送したことによって、通常、債権者は一括請求できる状態になっていますので、前任者が辞任すると督促が再開されたり、早期に訴訟を起こされるリスクが高くなっています。
したがって、この場合は早急に別の弁護士を探して相談に行くことが重要です(実際、辞任後の短期間で裁判を起こされ、給与も差し押えられてしまったという相談はよくあります)。
もし自分で代わりの弁護士を見つけられない場合は、最寄りの弁護士会や都道府県・市町村の多重債務相談の窓口などを検索すると見つかりやすいと思います。
なお、相談者のなかには、費用の分割払いができず辞任されたことに負い目に感じ、再相談そのものをためらったという方もいます。
しかし、よくお話を聞いてみると、そもそも払えなくなった理由が前任事務所の設定した支払金額が高すぎたためであるというケースもあり、そのような場合、無理のない金額を設定して分割払いでご依頼を受けられるケースは多くありますので、その点はあまり心配しなくても良いと思います。
和解後に支払いが頓挫した場合
任意整理を依頼した事務所にそのまま相談に乗ってもらえるようであればそちらに再相談し、方針変更を含めて善後策を講じることが近道です。
もっとも、インターネット経由で遠方の依頼者の任意整理を扱う事務所の中には、残念ながら相談者の居住地に事務所がないといった理由で自己破産などの法的手続まで対応していないところもあるようですから、任意整理を遠方の事務所に依頼した場合は近場の別事務所に相談に行った方が良いケースもあるかと思います。
このような場合も、ネット経由で近場の事務所を探す方法のほか、先ほど述べたように最寄りの弁護士会や都道府県・市町村の相談窓口などに問い合わせしてみることが選択肢に入るかと思います。
任意整理に失敗する原因はいくつもありますが、前任者に辞任されたケースの中には支払能力についてきちんと考慮されたのか疑問に思われるものもあり、本来は任意整理ではなく自己破産や個人再生が適していたのではないかと感じることもままあります。
いずれにせよ、債務整理は場面ごとにスピーディーに対応する必要がありますので、一度失敗したからといって諦めて放置することなく、早めに相談されることを推奨します。
弁護士 平本丈之亮