親権者の再婚と養育費の関係~離婚⑨・養子縁組しない場合~

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 前回のコラムで、離婚後に再婚した場合と養育費の関係について、親権者が再婚し、かつ、子どもと再婚相手が養子縁組をした場合についてお話ししました。

 再婚した場合には、大きくわけて以下の4パターンがありますが、今回はこのうち②のパターンで、子どもを引き取らなかった側(非親権者)の養育費支払義務への影響について取り上げます。

 

①親権者(=権利者)が再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組した場合(←前回のコラム

②親権者(=権利者)が再婚し、子どもは再婚相手と養子縁組しない場合

③非親権者(=義務者)が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組した場合

④非親権者(=義務者)が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組しない場合

 

<再婚+養子縁組なし→非親権者は減免されないのが原則>

 子どもを引き取った親権者(権利者)が再婚したが、子どもと再婚相手が養子縁組していない場合、法的には、再婚相手はその子どもに対する扶養義務はありません。

 そのため、養子縁組した場合と異なり、非親権者の養育費支払義務が減免されることはないのが原則です。

 

<再婚相手から多額の生活費を受け取っている→減免もありうる>

 もっとも、形式的には養子縁組をしていなくても、事実上、再婚相手が自分の収入で連れ子を扶養しているというのは一般的な話ですし、特に再婚相手が裕福で、その収入だけで十分に子どもを養育できるような場合には、非親権者に当初取り決めたままの養育費の支払義務を負わせ続けるのは酷と思われる場合もあります。

 そのため、このような場合には、親権者が再婚相手から受け取っている生活費相当額を親権者の収入と見なして、その年額と非親権者の収入とを基にして計算し、その結果、当初定めた養育費が減額される場合がある、という考え方もあります。

 

 例えば、離婚時に15歳未満の子どもが1人いて、親権者の妻は無収入、非親権者の夫は450万円の収入があった場合、簡易算定表によれば養育費は概ね4~6万円になりますが、その後、親権者が再婚し、再婚相手から生活費として月に30万円をもらって15歳未満の子どもを養育している場合、上記の考え方を採用すると親権者の収入は360万円となり、非親権者の収入が変わらず450万円だったとすれば、簡易算定表によると養育費は概ね2~4万円になります。

 

<実家の両親からの援助は?→収入にあたらない>

 ちなみに、これと似たようなケースで、実家の両親からの援助を親権者の収入とみなすべきかどうかという論点がありますが、これは否定されることが一般的です。

 この点は、親権者が再婚した場合、再婚相手は配偶者(=親権者)に対して生活保持義務(=自分と同じ程度の生活をさせる義務)を負うのと異なり、両親は親権者に対して、それよりも下の生活扶助義務(=自分に余裕がある場合に援助する義務)を負うにとどまるにすぎないため、と説明することが可能です。

 

弁護士 平本丈之亮