債務整理の相談を受ける中で、相談者が主婦(主夫)であり自分自身には収入はないものの配偶者には収入があるというケースがあり、このよう場合、個人再生が認められるかが問題となることがあります。
典型的な事案は、住宅ローンの主たる債務者が主婦(主夫)であり、ローンを組んだ時点では収入があったが、その後に主婦(主夫)になったケースや、年式が新しいため自己破産をすると売却されてしまう自動車を持っており、これを残したいといったケースですが、このような場合に、配偶者からの援助が得られることを理由として主婦(主夫)が個人再生を利用できるのでしょうか?
・無収入の場合、個人再生は難しい
個人再生の基本的な利用条件の一つに「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあ」ることがありますが(民事再生法221条1項)、申立の時点において主婦(主夫)であって収入がまったくないという場合、たとえ配偶者からの援助が見込まれたとしてもこの条件をみたさないとして申立が認められられない可能性があり、実際、当事務所でも裁判所からそのような指摘を受けたケースがあります。
・パート収入等があれば認められる可能性はある
以上に対して、全くの無収入ではなくパート収入を得ているようなケースであれば、勤続年数や本人の収入額、配偶者からの援助額などの事情次第ではあるものの手続を認めてもらえる可能性があります。
・早期就労が鍵
このように、全くの無収入の場合だと主婦(主夫)が個人再生を利用するのは難しいところですが、たとえ相談の時点では無収入であっても、その後に弁護士が介入して請求を止めつつ、その間に早期に就労することができれば、状況次第では個人再生を利用できる場合があります。
就労までにあまりに時間を要するようでは債権者から裁判を起こされる等のリスクもあり、無限に先延ばしできるわけではありませんが、やり方次第では利用できる可能性はありますので、主婦(主夫)の方で個人再生をお考えの方は一度弁護士へのご相談をご検討いただければと思います。
弁護士 平本丈之亮