K弁護士の事件ファイル⑤ ~無理な願掛けはやめよう~

 

受験等大きな挑戦をする際に行われる「願掛け」のうち、最もポピュラーなのはお百度参りであろうか。

 

K弁護士も、一高の合格ラインまで2割程得点が足りないと宣告され、中3の11月頃から毎朝盛岡八幡宮まで往復4キロの「お百度走り」をしたことがあった。他にも、目標を達成するまで一番好きな食べ物を絶つという「願掛け」もある。

 

K弁護士は、平成11年4月に結婚し、新婚旅行では行く先々でオーストラリア人にも驚かれるほどビールを飲み、毎日10時間近くの睡眠をとり続け、コアラを抱っこするなどした結果、体重が自己最高の93キロまで増加した。K弁護士は、一番の好物であったスキヤキを絶つことを決意し、妻との間で家訓第10条「体重が89キロになるまではスキヤキを食べるべからず」を定めた(法学部志望3年生の皆さん、ここまでは知っていますよね)。

 

ところが、K弁護士は「太った状態でランニングをすると膝を痛める」との理由でランニングを選択肢から外し、「腹が減っては戦ができぬ」との理由で食事制限も選択肢から外したため、全く打つ手のない状態が続いた。更に、「飲んだ後はラーメンで締める」という日本の伝統文化を重んじるあまり、体重は増加の一途をたどり、ピーク時には98キロを記録するまでになっていた。

 

そんな時に、新聞の折り込みチラシで「寝るだけで痩せる」という「ダイエット枕」(1万3千円位)を見つけ、藁にもすがる思いで購入したこともあった(ちなみに、購入してしばらくすると「ダイエットサンダル」「ダイエットクリーム」「ダイエットサウナスーツ」等次々に魅力的なダイレクトメールが届くことになった。K弁護士、大学生の時から全く成長していない?)。

 

家訓制定から10年が経過し、この間に生まれた2人の娘たちは「スキヤキを知らない子供たち」状態であった。娘たちがあまりに不憫だとの思いから一念発起したK弁護士は、「低炭水化物ダイエット」(朝晩は基本的に炭水化物を抜く)を開始し、更には膝に負担の少ない「エアロバイク」による運動を少しずつ取り入れ、草野球に真剣に取り組むなどした結果、徐々に目標体重に近づいて行った。

 

そして、家訓制定から間もなく13年となる平成24年4月10日の朝、K弁護士の乗った体重計は88・8キロを示し、ついに目標体重をクリアすることに成功した。その日の晩ご飯に食べたスキヤキの美味しさは、K弁護士にとって一生忘れられないものとなった。今では2人の娘達もスキヤキが大好物になっている。

 

巻頭言の趣旨を外れて迷走状態ですが、そろそろまとめに入ります。

 

「願掛け」は、高い目標を定め、それに向けて地道に努力する人にこそふさわしいものであり、努力もせず、むやみに「願掛け」をしても意味がないことは、K弁護士の例からもお分かりいただけると思います。賢明な一高生の皆さんは、K弁護士を反面教師として、「願掛け」をする場合には、目標達成に向けて地道な努力を怠らないようにしてください。

 

前号からお読みになっている皆さんは、「K弁護士は人として大丈夫なのか」と思われているかもしれませんが、悪夢の13年間を経て地道な努力を惜しまない人間に生まれ変わったK弁護士は、週3回のランニングを半年以上続けた結果、51歳(当時)にして盛岡シティマラソン(フル)を完走し(一高応援団の応援を受けてのスタートは最高でした。応援団の皆さん、ありがとうございます)、体重は80キロまで減りましたので、現在はスキヤキ食べ放題の状態です。

 

注:母校岩手県立盛岡第一高等学校PTA会報第112号(2020年3月)に巻頭言として寄稿したものです。

2026年1月5日 | カテゴリー : コラム, 雑記 | 投稿者 : 川上・吉江法律事務所