ネット通販やネットオークションの「ノークレーム・ノーリターン」の効力~瑕疵担保責任・消費者契約法~

このエントリーをはてなブックマークに追加

 最近はインターネットで品物を購入するのが当たり前の時代となりましたが、ネットショッピングが一般化するにつれて取引に関するトラブルも増えているようであり、当職のもとにもインターネットショッピングに関するご相談が増えています。

 

 2018年1月31日付の国民生活センターの発表によると、インターネットでの商品取引に関する相談件数は、2012年度には32,421件だったものが平成28年度には68,752件まで増加したとのことであり、インターネットでの取引トラブルが特別なものではなく、ごく身近なものであることが分かります。

 

 そこで、今回は、インターネットで商品、その中でも中古物品を購入した場合に、その商品に欠陥や不備があったらどうするか、という点についてお話したいと思います。

  なお、このコラムは現時点での法律を前提に執筆していますが、2020年4月1日から新しい民法が施行され、この分野に関する民法の規定が「契約不適合責任」という形に改正されることが予定されています。改正によってどのような変化が起きるのかは別のコラムでお話したいと考えておりますので、今回は割愛させていただきます。

 

<瑕疵担保責任→損害賠償・契約解除>

 例えば、インターネットで中古自動車を買ったところ、ブレーキに重大な不具合があり危なくて走れなかった、メーターの巻き戻しがあり実際の走行距離が表示の何倍も多かった、高級腕時計の中古品を買ったところすぐに動かなくなり、調べてみたところ内部が駄目になっていた、というような場合、買主は売主に対してどのようなことが言えるでしょうか?

 

 このようなケースに対応する法律として、現行民法上「瑕疵担保責任」という規定があり(民法570条、566条)、売買の目的物(たとえば自動車)にすぐには分からない欠陥や不備(=「隠れたる瑕疵」)があったときは、買主は一定の期間以内(※)であれば損害賠償請求ができ、また、走行不能など重大な不具合があり契約の目的を達成できないときは契約を解除して代金の返還を求めることが可能とされています。

 


※ 物の引渡から10年以内、かつ、瑕疵を知ったときから1年 


 

 なお、実際の交渉の場面では、商品の不具合がもともとあった欠陥なのか、それとも購入後の買主の使用によって生じたものなのかについて争いが生じることがあります。

 時間がたってから不具合を主張した場合には、元々の欠陥であったことを証明できなくなる可能性も出てきますので、買主としては、不具合を感じたときはなるべく早く証拠を保全しておくこと(傷があれば写真をとったり、自動車なら整備工場などに持ち込んで不具合の原因を調べてもらうなど)や、不具合があったことを売主に通知しておくことが必要と思われます。

 

<ノークレーム・ノーリターンの特約があった場合>

 このように、買主は不具合があった場合に瑕疵担保責任を主張することができますが、インターネットでの中古品の販売においては、売主が「現状引渡のため、ノークレーム・ノーリターンでお願いします。」「商品の不具合について、売主は一切責任を負いません。」といった免責条項を設けているパターンが見受けられます。

 このような特約は法的には「瑕疵担保責任免除特約」といいますが、このような特約がある場合、買主は売主に何も言えなくなるのでしょうか?

 この問題は、取引当事者が個人か事業者かによって結論が変わってきますので、次のページで場合を分けてご説明します。